【 ワープロと輪転機の思い出 】
新採用で就職した頃、配布文書はガリ版(ロウ原紙)で書いてローラーで印刷するか、「ドラム式転写機」で作成して輪転機で印刷していた。転勤してからガチャン・ガチャンと1文字1文字ひろいながら打つ「和文タイプライター」を使いこなせるようになり、「手書き」から「活字」の文書が作成できるようになって嬉しかった。しばらくしてワープロが入ってきた。東芝の「Lupo(ルポ)」が流行(はや)りだした。アタッシュケースみたいなこの機械を持ち歩く同僚がうらやましかった。購入しようかどうしようか迷っているうちに、今度はコンピュターが入ってきた。ワープロソフトは「一太郎/ATOK」、表計算ソフトは「Lotus123」だった。「一太郎」以外の面白いワープロソフト(フロッピーディスク)があった。「2HD」や「MO」のフロッピーディスクに保存した。「(上書き)保存」を忘れては再入力を繰り返した。職場では「MS-DOS」とか「C言語」とか専門用語が聞かれるようになった。その後 Office の「Word」・「Excel」になった。表計算は「Excel」を勉強したが、ワープロは「一太郎」が使いやすかったので「Word」にはならなかった。あらかじめ点線の罫線が引かれている用紙画面に文字を入力する「一太郎」は、ノートや罫紙に文字を書くような気持ちで入力できる。「印刷」しても下地の罫線は印刷されない。罫線は下地の罫線の間に引くか、罫線上に引くかを容易に選択できるのが便利だ。「一太郎」での文字入力や「罫線」の引き方に慣れ、「Word」に移行する機会を失ってしまった。
印刷の「ドラム式転写機」は左側の原稿を右側の原紙に焼き付け、原紙を輪転機に貼りつけて印刷するものだったが、焼き付けのときに出る焦げたような「におい」を今でも覚えている。現在は原稿をコピーした原紙が自動的にドラムに巻き付けられ、そのまま印刷する「リソグラフ」になっている。原紙とインクの交換は必要だが、コピー機操作の要領で印刷できるようになった。便利になったが、ときどき「不便」だった現役時代が懐かしく思い出される。
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