【 解説 】
〔 天照山神社 〕 昭和6年の建立、祭神は天照大神(あまてらすおおみ(の)かみ)・猿田彦命(さるたひこのみこと)・大成大神。例祭は5月22日。多くの信者の参詣がある。湯河原町
〔 五段(ごだん)の滝 〕 不動滝より渓流沿いに奥湯河原方面に歩くと見えてくるのが五段の滝。全長100mに及ぶ滝が五段に見えるところから、「五段の滝」と名付けられました。源泉の湯けむりがたち込めた温泉情緒たっぷりの場所です。
〔 不動滝(ふどうたき) 〕 滝としては小ぶりながらも水量は豊かで、名前の由来は滝壺(たきつぼ)のほとりに不動明王(ふどうみょうおう)を祀(まつ)るに由来します。また、滝の左側には身代わり不動尊(ふどうそん)、右側には出世大黒尊(しゅっせだいこくそん)が祀られています。 湯河原町の温泉場は湯河原火山が浸食をうけた深い谷間にあり、このような滝が随所(※1)にあります。かつては、この水力を活用した自家用水力発電所をもった旅館もありました。滝周辺の地層は箱根火山の基盤をなす新第三系の湯ヶ島層群(ゆがしまそうぐん)とされていましたが、最近では湯河原火山の噴出物という見解が出されています。岩石中には、沸石(ふっせき)と呼ばれる無色透明もしくは白色の鉱物が含まれ、湯河原沸石という湯河原の地名が付いた沸石は、ここで発見されました。(※1)湯河原の名瀑(めいばく):藤木川水系−不動滝、白雲の滝、去来の滝、五段の滝/新崎川水系−六方の滝、清水の滝
〔 湯河原の文学と不動滝 〕 夏目漱石はリウマチ治療のため不動滝に近い天野屋に逗留(とうりゅう)しました。朝日新聞に連載された「明暗」には主人公が不動滝へ向かう場面がありますが、小説は漱石の死により未完に終わりました。他にも芥川龍之介、与謝野晶子など湯河原温泉(ジオサイトY6)には多くの文人が逗留しました。
〔 湯河原沸石(ふっせき) 〕 含水率や空隙(ぐうげき)率の大きい沸石(ゼオライト)という鉱物の一種で、無色透明の頭がとがった板状の結晶です(写真)。東京大学理学博士の桜井欣一(さくらいきんいち)博士が少年時代(1930年頃)に不動滝で発見し、1952年に新鉱物として記載されました。沸石には多くの種類があり、温泉活動により火山岩のすきまに形成されることも多く、熱していくと水が分離して沸騰することから、この名前が付いたと言われています。藤木川をさかのぼり、奥湯河原でも発見されていますが、不動滝では他に濁沸石(だくふっせき)、モンデン沸石、剥沸石(はくふっせき)、菱沸石(りょうふっせき)などの沸石が産出しています。湯河原における沸石の産地は泉源の分布域とほぼ一致している点から、温泉の活動と密接して形成されたと考えられます。2016年に一般社団法人日本地質学会から神奈川県の石(鉱物部門)として認定されました。神奈川県立生命の星・地球博物館で現物を見ることが出来ます。
〔 不動滝 〕 湯河原五大滝(白雲の滝、清水の滝、五段の滝、だるま滝、不動滝)の一つ。滝の名は滝壺のほとりに不動明王を祀るに由来する。滝の高さ:約15m
〔 湯河原沸石(町指定天然記念物)〕 滝つぼのまわりの岩盤の中から採れた石のことで、石の中に白い結晶がまだらに入った物です。現在では、殆ど見られません。ご覧になりたい方は、下の茶店に見本がありますので、お立ち寄り下さい。(硫酸や塩酸にも溶けにくいと言われています。) ★ 神奈川県の鉱物に認定されています。
〔 だるま滝 〕 岩肌を流れ藤木川に落ちる水の様子が、正面から見た達磨大師の姿を彷彿とさせることから、「だるま滝」と名付けられました。
【 滝の写真 】
去来(きょらい)の滝
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白雲(はくうん)の滝
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五段(ごだん)の滝
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不動滝(ふどうたき)
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だるま滝
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